神奈川県逗子市池子で2020年2月、マンション敷地斜面が崩落し、歩いていた県立高校3年の女子生徒=当時(18)=が約66トンの土砂に巻き込まれて死亡したのは県が危険な斜面を放置したためなどとして、遺族が県に計150万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、横浜地裁(中山雅之裁判長)は24日、「具体的な危険が切迫していたとしても県が予見できたとはいえない」などとして県の違法性を認めず、請求を棄却した。
判決などによると、事故は2月5日の朝に発生。高さ約16メートルの斜面から約66トンの土砂が崩れた。事故後の国の調査で、崩落の主因は風化とされた。現場は県が11年に土砂災害警戒区域に、事故後の21年には同特別警戒区域に指定した。
裁判で遺族側は、県は事故直前に土砂災害防止法に基づき現場一帯を2回調べたのに、風化が進んだ斜面の危険を把握せず、適切な調査を怠ったと主張。これに対し、中山裁判長は「容易に風化状況を把握できたとはいえない」と退けた。
また、遺族側は県が現場斜面を「急傾斜地崩壊危険区域」に指定して対策を実施すべきだったとも訴えたが、中山裁判長は「県が行う崩壊防止工事の対象だったとはいえない」とした。