J1横浜Mは29日の柏戦で7戦ぶりの勝利を手にした。無失点も7試合ぶりで、DF上島拓巳(27)は「レイソル戦でこれからどうやって上を目指していくかを結果で示そうとチーム全員で共有していた」と会心の笑みを浮かべた。
落ち着いていた。乗せたら怖い古巣の攻撃陣に攻め込まれる場面もあったが、ゴール前で冷静に対処。「先に2点取ったことで慌てずにゲームコントロールができていた。攻撃陣に感謝です」。鋼のメンタルの持ち主は懸命に足を踏み出した。
「ACLを失った喪失感は大きかった。あの大舞台で結果を残せなかったショックや後悔もあった」。アルアイン(アラブ首長国連邦)戦では圧倒的なスピードと強度にさらされ5失点。帰国便の機内も「どんよりとしていたし、引きずっていた」という。
ただ、いつまでも立ち止まってはいられない。一日のオフを挟んで再始動。「練習場に行くとみんな前を向いて切り替えていこうという雰囲気が切り替えさせてくれた」。マリノスの底力とも言うべきリバウンドメンタリティー。連戦ですぐに取り返すチャンスが巡ってきたこともプラスに作用した。
疲労に加えて、ACL直前のFC東京戦で負傷もあり満身創痍(そうい)。それでも、「もう一度ACLのファイナルで忘れ物を取りに行く。そのためには目の前のリーグ戦で結果を残す必要がある」。今を全力で歩んだ先に、あのひりつくピッチが待っている。
「チームとして力を発揮できなかったのは現実。ただ、あの大舞台を経験できたからこそ経験値として積み上がってくる。絶対に取りに行きたい」。屈強なセンターバックは澄んだ瞳で一点を見つめた。