子どもや子育てに関する施策を推進するための「横浜市こども・子育て基本条例案」が3日、市会常任委員会で可決された。こども基本法を踏まえ、自民党市議団が原案を作成し、超党派で提案したが、「権利」との文言が明記されていない上、当事者の意見も十分聞いていないとして、識者らが内容の再考や議論の継続を求める要望書を提出していた。5日の本会議でも可決される見通し。
条例案の目的は「こどもおよび子育て世代に選ばれる、こどもと子育てに優しい都市横浜の実現に寄与すること」。市の責務として子どもが意見を表明する機会を確保し、施策に反映させることが柱という。立憲民主党市議団1人、共産党市議団5人、無所属1人の計7人を除く79人が提案者に名を連ねた。
3日の常任委で、古谷靖彦氏(共産)から明記しない理由を問われ、黒川勝氏(自民)は「前文に『こども基本法の精神にのっとり』と規定しており、(基本法に記載のある)権利擁護や意見尊重は条例の中に含まれる」と説明した。
これに対し、要望書を提出した沖縄大学元学長の加藤彰彦氏は「子どもを中心に置いた内容と言えず、大人の視点でつくられたもの。子どもの思いや意見を聞きながら時間を掛けて検討すべき」とし、拙速な対応を批判した。
子どもの権利条例は川崎市が全国に先駆けて2001年に施行。県内では相模原、横須賀両市も続いた。
NPO法人「子どもの権利条約総合研究所」によると、子どもの権利に関する全国の条例の中で、権利という文言が明記されていないものは他にないという。