全国高校野球選手権神奈川大会が7月5日に開幕する。抽選会は6月8日に行われ、大会は例年にも増して混戦模様。春季県大会で序盤から強豪同士の対戦が多く、力のあるチームがノーシードに分散した。好投手を擁して上位進出へ腕をぶす、最強のノーシード校の注目選手を紹介する。
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「菅の右ピッチャーがすごいらしい」。まさに、うわさがうわさを呼んだ。菅は昨秋、今春ともに地区予選敗退。県大会でその投球を見た人はいない。発信源は、昨年10月の練習試合だった。
菅の主戦・岩瀬将(3年)が県外の強豪私学を相手に14奪三振。変化球をほぼ投げられなかったという中で、空振りの山を築いた。
その試合前、平林明徳監督(56)は「将来が変わる試合になるかもしれないぞ」と送り出している。かつて相模田名や上溝を率いた指揮官は、相模田名で2015年夏に4回戦に進出した。
昨春、菅に赴任して岩瀬を最初に見たとき、「キャッチボールが怖かった。今まで見てきた選手の中で素材は抜群」と驚いた。「上(プロ野球)でやれるんじゃないか」との予感を、試合前の言葉に込めた。予感は的中。その試合をきっかけに評判が知れ渡り、プロ11球団のスカウトが岩瀬を見に訪れている。
癖のないフォームから投じる直球は最速143キロ。注目すべきは速さよりも球の質だ。直球の回転数は1分間に約2200回転で、回転効率は良いときは99%を超える。「手元でホップする」と言われるゆえんだ。
冬から変化球の練習も始め、今はカットボール、スライダー、チェンジアップ、カーブ、フォークボールを操る。「指先の感覚はいいみたい。教わるとだいたい投げられる」(岩瀬)のも高い潜在能力の現れだ。
チームの意識も高まってきた。捕手で主将の小池は「注目されるのは初めてなので、みんな気合いが入っている。目標はベスト16」。平林監督も「エース温存なんて考えない。今まで校歌を歌ったことがないチームなので、挑戦者として臨む」とナインの一体感を後押しする。
今春の地区予選では、県大会優勝の武相と途中まで競った。岩瀬は淡々と話す。「武相にリベンジしたいし、名だたるチームに勝ちたい。(練習試合でも)自分はほとんど打たれていないので、全然いけると思う」
◆いわせ・しょう 右投げ右打ち。180センチ80キロ。金程中出身。3年。対戦したい相手は武相。