自民党派閥の裏金事件を巡る政治資金規正法改正案の審議は10日から参院の政治改革特別委員会に舞台を移した。自民政治刷新本部の鈴木馨祐座長(衆院7区)が同党案の説明に立ったが、必須の検討について「なるべく早く進めていく」と開始時期すら明言しない答弁を連発。立憲民主党などから「『検討使』ですらない」と批判を浴びるなど「打たれっ放し」(自民幹部)の状態となった。
刷新本部関係者によると、政治資金をチェックする第三者機関の設置時期などについて見通しを示すべく党内調整が行われたが、まとまらなかったという。鈴木氏ら同党提案者は手持ち材料なきまま答弁席に立たされた格好。やじや怒号に耐える姿に自民内からは「若手を見殺しだ」(閣僚経験者)と党執行部への批判が強まっている。「検討使」は「検討」との言葉を連発する答弁に対し、歴史上の「遣唐使」になぞらえ皮肉を込めた俗称。
立憲民主党の熊谷裕人氏は政策活動費の使途公開などが今後の「検討事項」として改正案付則に盛り込まれたことなどを挙げ、「検討、検討、検討、本当に検討事項ばかり」と指摘した。第三者機関の設置に加え政策活動費の公開策など自民案にある「検討事項」の具体化について「せめて衆院、参院議員が来年迎える任期内を期限とせよ」と迫った。