前小田原市長の側近で5月に退任した八木大二郎政策監の退任前8カ月間の公務スケジュールについて、市が一切記録に残していないことが17日、分かった。実質的なナンバー2で重要施策に関わったとされるが、公務の全容を把握する庁内部署も存在しなかった。政策監ポストを巡っては前市長の「市政の私物化」という批判もあり、市はポストの妥当性について検証作業をする方針を示しているが、公務記録すらない「ブラックボックス」(市議会関係者)の解明は難航も予想される。
政策監は2020年5月に就任した守屋輝彦市長が新たに設置。市長の特別秘書という位置付けで重要施策の調査や調整に携わるが、副市長ら他の特別職とは異なり市議会の同意なく選任でき、議会出席の義務もない。守屋氏が県議時代の同期である八木氏を登用したことで「お友達人事」との批判も浴びた。
庁内の打ち合わせなど政策監のスケジュール調整は当初、市未来創造・若者課が担当し、職員が時間ごとの予定をメモとして作成していた。市議会は23年9月の決算審議で八木氏のスケジュールメモを資料請求。市はその直後の同10月からメモの作成をやめ、政策監の公務日程を示す公文書は一切なくなった。
以降、スケジュールも八木氏が退任するまでの8カ月間、自ら管理し、担当部署も八木氏の公務日程を把握できなくなった。