神奈川県海老名市が、重度障害者らの生活介護を行う市立わかばケアセンター(同市中新田)を同市社家に移転させる計画を進め、この土地が相模川に近い「家屋倒壊等氾濫想定区域」に位置していることなどから同センター利用者の家族の一部が反対している。法律上は問題ないものの、家族らは重度障害者が通う施設は立地の安全性を最優先にすべきだと主張。一方、増加する障害福祉サービスの需要に対応したい市は、一定の広さがある適した用地が他になかったと説明している。
同センターは1日当たり、身体障害者・知的障害者を20人、重症心身障害者を5人、重度自閉症者を5人受け入れる通所型の施設で、うち重症心身障害者の枠は11人の利用者がいる。また、同センターと共に市立わかば会館にあり、就学前の障害児の発達支援事業などを行う市立わかば学園も定員を超過している。
市は「わかば会館で行っている各事業の利用希望者が年々増加しており、現在の施設規模では新たな受け入れが困難」と移転の理由を説明。移転後の「(仮称)障がい者ケアセンター」は1日当たり、身体障害者・知的障害者を20人、重症心身障害者を20人、重度自閉症者を10人受け入れ、わかば会館は障害児のための事業を拡充させる。
一方で、重症心身障害者の長女(27)がわかばケアセンターに通う男性(56)は、「重度障害者も通う施設の移転先として、家屋倒壊等氾濫想定区域をあえて選定したその心は何か。説明できるならしてほしい」と憤る。