岸田文雄首相(自民党総裁)は19日、就任以来初めてとなる党首討論に臨んだ。党派閥裏金事件への対応を巡り衆院解散宣言や総裁選不出馬表明といった“サプライズ”が取り沙汰されたが、首相は「結果を出していく」などと従来の見解を繰り返すのみ。解散や退陣を迫った野党から「何もやら内閣」と攻撃されても「鋼のメンタル」(自民幹部)でかわした。与党内には「総選挙にならなくて良かった」との安堵(あんど)と「まだ続けるつもりなのか」との失望が交錯している。
立憲民主党の泉健太代表は、裏金事件を巡り自身に処分を行っていない点などを追及し、「解散して信を問え」と迫った。日本維新の会の馬場伸幸代表は「リーダーシップを欠き、万策尽きている」、国民民主党の玉木雄一郎代表は「四面楚歌(そか)で結論を出す能力も資格もない」として「職を辞せ」などと退陣を求めた。しかし首相は「やるやる詐欺の何もやら内閣」(馬場氏)などと激しい批判を浴びても動じず、「一つ一つ課題に向き合っていく。結果を出すことしか考えない」と要求を拒否し続けた。
一方で共産党の田村智子委員長から選択的夫婦別姓制度を巡り「経団連からも国会での議論を促されている」と各論への対応を求められても「国民の意見はさまざまだ」などと明言を回避。野党席から「結果を出すと言ったじゃないか」と怒りのやじを浴びた。