バス運転手の時間外労働時間の上限が規制される「2024年問題」やインバウンド需要の増加などで貸し切りバスの手配が高騰化し、小中学校などの校外学習や修学旅行にも影響が広がっている。川崎市の小学5年生と中学1年生が参加する「川崎市八ケ岳少年自然の家」(長野県富士見町)での2泊3日の校外学習でも、すでに一部の学校では年間予定を変更するなどの対応に迫られている。
1991年から市内全域で始まった「自然の家」での校外学習には、本年度も児童や生徒が大型バスで次々と向かっている。現地では屋外炊飯でカレーを作ったり、星空を観察したりするなど、仲間との共同生活を過ごす。
5月末時点で計8の小中学校が参加した一方で、バスが手配できずに7校が日程を、3校が目的地の変更を余儀なくされた。1学年、11学級を誇る西中原中学校(同市中原区)では「富士緑の休暇村」(山梨県鳴沢村)に目的地が変更となり、食事代として保護者の負担が約1万円ほど高くなったという。
これまで市は3月上旬、翌年度に利用するバスの台数を算出し、市に登録する旅行会社へ一括での入札で業者を選定してきた。
24年度は物価高騰の影響を見据え、事前に小学校は約2182万円増の約9676万円、中学校には約1456万円増の8776万円の予算を組んでいた。しかし、3月8日の一括発注の入札は不調に終わった。市の担当者は「事前に準備、調査してきたが、値上げの幅が想像を大きく上回った」と対応に追われた。
一括発注よりも高額となるが、時期を区切ってのグループ発注や複数のバス会社での編成を認める仕様書に変更してバスの確保に当たった。今月には9632万円の一般会計補正予算が成立し、本年度の手配にめどが立ったが、市議会では「入札が不調となった原因は」「来年度に向けての改善策は」と声が上がった。