希少動物の保全に取り組む横浜市繁殖センター(同市旭区)は28日、特別天然記念物ニホンライチョウの人工繁殖に成功し、2羽がふ化したと発表した。人工繁殖は国内3例目だが、野生の雄から採取した精液による繁殖は初めて。動物園などで飼育しているライチョウの遺伝的な多様性を高め、種を保存する狙いがあり、担当者は「価値のある成功。ひなの成長を見守りたい」と話している。
市によると、同センターと上野動物園、環境省などの職員10人余りが先月25日から26日にかけて、野生のライチョウが生息している乗鞍岳に向かい、長野県側の山小屋周辺で雄を捕獲した。排せつ口を刺激し、6羽から日本初となる精液の採取に成功したという。
精液は0~5度の温度を保てる冷蔵装置に入れ、富山県の富山市ファミリーパークに車で運搬。同園で飼育中の雌5羽に注入して様子を見守っていたところ、今月28日に2羽のひなが誕生した。性別は判別できていないが、健康状態に問題はないという。