新しい紙幣が3日、発行される。鉄道各社などは券売機を新紙幣対応に更新させるなど準備を進めてきたが、正常に動くかなど不安を募らせる。
6月下旬、JR関内駅。多くの利用客が交通系ICカードをタッチして自動改札機を通過する中、券売機に人だかりができていた。現金で切符を購入するインバウンド(訪日客)や、出張とみられる会社員らだ。JR東日本横浜支社(横浜市西区)によると、ICカードは改札入出場時に自動的に設定金額が入金(チャージ)される仕組みがあるが、利用者の半数は現金でのチャージといい、新紙幣への対応を進めてきた。
京浜急行電鉄(同区)は約1億円を投じ、全ての券売機や精算機などを更新した。ただ、同社の新紙幣対応機は、千円札に夏目漱石の肖像を採用するなどした旧紙幣が使用不可に。3日からは駅窓口で両替対応などするが、担当者は「利用者からの問い合わせが増えそう」と不安を口にする。
川崎競馬場(川崎市川崎区)は、2023年11月末に全295台の券売機の対応を終えた。旧紙幣も使用可能で、費用は約1億2千万円に上った。現在はインターネットでの馬券購入が主流だが、競馬場に訪れる客の多くは券売機を利用する。「新紙幣発行の直前だと業者が手いっぱいになる。対応が間に合わないことは避けたかった」