マラソン男子の日本記録を持つ鈴木健吾選手らが所属する富士通陸上部が3日、2026年4月に現在の千葉市から川崎市へ活動拠点を移すことを発表した。同部の林恒雄部長らが同日、川崎市役所を訪れ、福田紀彦市長に報告した。
今年4月に富士通が東京・汐留にある本社機能を川崎市に移転。事業の集約を進めていることを前提に、林部長は「スポーツで川崎に根付き、市民の方と成長し、陸上部としてさらに発展したい」と抱負を語った。福田市長も「陸上界の名門が川崎に拠点を置き、陸上分野でも盛り上げていただける。市民を挙げて歓迎したい」と笑顔で応じた。
富士通陸上部は1990年に同市中原区で発足し、97年4月に練習環境の充実を図り、千葉市に活動拠点を移転。全日本実業団駅伝(ニューイヤー駅伝)で3度の優勝を果たすなど、「世界で戦える選手を育成」を旗印に、日本陸上界をリードしてきた。
男子20キロ競歩で2016年リオデジャネイロ五輪7位入賞の松永大介さんや、今夏のパリ五輪に内定している女子20キロ競歩・男女混合リレー競歩の岡田久美子選手らを輩出。現在、短距離や跳躍、長距離を含め、32人が在籍している。
26年4月から「競歩・長距離」の選手ら約20~25人が、富士通が本社機能を置く「富士通テクノロジーパーク」のある中原区を拠点に活動する予定。多摩川河川敷でのトレーニングも視野に入れている。同年には神奈川陸上競技協会に登録を切り替える方針という。
富士通はこれまで関連会社のサッカー・Jリーグ1部(J1)「川崎フロンターレ」をはじめ、バスケットボール女子の「富士通レッドウェーブ」、アメリカンフットボールの「富士通フロンティアーズ」を川崎市で展開してきた。林部長は「スポーツが集まることで、きっと相乗効果が出る。川崎市をさらに盛り上げたい」と意欲を示す。同部は、子どもたちへの指導や学校訪問などの事業にも積極的に参加する意向を打ち出している。