川崎市川崎区の多摩川河川敷で昨年12月、スーツケースから男性（46）＝東京都江戸川区＝の遺体が見つかった事件で、殺人などの容疑で逮捕された元交際相手の女（32）＝大阪府高槻市＝ら5人のうち、一部が男性名義の口座から現金約20万円を引き出していたことが5日、捜査関係者への取材で分かった。県警は窃盗容疑なども視野に捜査している。
捜査関係者によると、男性は口座を複数もっていたが、殺害されたとみられる昨年12月15日以降、ほぼ全額が引き出されていたという。県警は引き出した動機などについて調べる。
県警のこれまでの捜査で、男性と女が交際中、金銭などを巡りトラブルになっていたことが明らかになっている。女は交際中に自身が立て替えたとするホテル代など計約95万円の返済を求め、男性は30万円以上を返したものの、以降の支払いは拒否したとみられる。
また、男性が配信していた動画内で、女の家族に言及したり、住所を公表したりしたことでトラブルにもなっていたという。女は県警の調べに「（配信で）誹謗（ひぼう）中傷されるのが嫌だった」などと供述しており、家族に関する配信の中止や謝罪を男性に求めていたという。
横浜地検は5日、殺人と死体遺棄の罪で、女と、女の父親（53）＝千葉県船橋市、母親（51）＝東京都大田区、兄（34）＝同、女の交際相手の男（39）＝大阪府高槻市＝の5人を起訴した。認否は明らかにしていない。
起訴状などによると、被告5人は共謀して昨年12月15日から同16日までの間、東京都大田区の母親の自宅居室内で、男性に睡眠薬入りのコーヒーを飲ませて眠らせ、首を結束バンドで締め付けて窒息死させたほか、同日に男性の遺体をスーツケースに入れて自動車で同区内の多摩川河川敷に運び、川に遺棄した、とされる。