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【高校野球神奈川大会】背番号発表の朝、急死した祖父へ「ハマスタ駆け抜ける」 祖父は慶大・丸田らを育てた名伯楽

カナロコ by 神奈川新聞 2024年7月6日 5時40分

 5日に開幕した第106回全国高校野球選手権神奈川大会。春季県大会で優勝した武相の宇野日向(3年)は1日に69歳で急死した祖父・和之さんへの思いを巡らせながら、最後の夏に挑もうとしている。

 1日早朝、寮生活を送る宇野は目を覚ますと、携帯電話には家族からの多数の不在着信が残っていた。「突然すぎた。何が起きたか分からなかった」。野球を始めるきっかけを与えてくれた祖父の訃報で、偶然にもその日は選手に夏の背番号が言い渡される大事な日だった。春季大会では先発出場がかなわなかった宇野にとって、最後の夏に懸ける思いは強い。押し寄せる悲しみに集中できるはずもないが、覚悟を決めてその日も練習に没頭した。

 豊田圭史監督(40)から与えられた背番号は三塁のレギュラーを示す5番だった。その2日後、初めて祖父の亡きがらと対面した際には「直接言えなかったので悔いは残るが、まずその報告をした」。

 和之さんは横浜泉中央ボーイズで監督を務め、昨夏に慶応の107年ぶりの日本一に貢献した丸田湊斗(慶大)や横浜高出身の土生翔太(中日)らを育てた少年野球の名伯楽だ。

 宇野は遠方の千葉県市原市に住んでいたが、「小さい頃から泉中央ボーイズでプレーすることが夢だった」。毎週金曜の夜に和之さんの自宅に前泊し、土日は横浜で練習に励む日々を送った。中学3年時には主将を務め、全国大会出場に貢献。祖父から学んだ「野球で一番大事なことはぶれないこと。自分の軸をしっかり持て」の言葉は今でも宇野の支えとなっている。

 和之さんは6月30日に、横浜スタジアムで3年ぶりとなる夏の全国大会出場を決めたばかりだった。「おじいちゃんは最後ハマスタで終ったので、自分もハマスタを駆け抜けて、甲子園に行きたい」と同じ大舞台で躍動する決意を込める。

 「小さい頃から野球を教えてもらっていた。今まで教えてもらったことをこの大会の一打席、一打席に全部出したい」。次は甲子園出場を報告するために、激戦区神奈川を勝ち抜く。

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