新紙幣の図柄とゆかりが深いとして、日本銀行から県に寄贈された若い記番号の新千円札が、県立歴史博物館(横浜市中区)で展示されている。合わせて、裏面のデザインに採用された葛飾北斎の「冨嶽(ふがく)三十六景 神奈川沖浪裏」も展示。同館の担当者は「『神奈川沖浪裏』は神奈川を描いた作品とあまり知られていない。新紙幣を機に、多くの人に知ってもらいたい」と期待している。
約20年ぶりに刷新された1万円札、5千円札、千円札のうち、千円札は表面に微生物学者の北里柴三郎(1853~1931年)が、裏面に東海道神奈川宿(現在の横浜市神奈川区)の沖合を描いた「神奈川沖浪裏」が、それぞれ採用された。
日本銀行は新千円札の図柄とゆかりの深い団体などに若い記番号の新紙幣を贈呈。県には、日本銀行の貨幣博物館に収蔵される最も若い記番号に次ぐ「AA000002AA」が贈られた。これを記念して、「神奈川沖浪裏」を含む葛飾北斎の作品11点を所蔵する同館が展示を企画した。
同館の常設展示室2階で、贈呈された新千円札と作品11点を紹介。「神奈川沖浪裏」の説明文には「海外でも『グレイトウェーブ』と親しまれる一方、『神奈川』の地名が忘れられがちである」と記した。
7日に来場した横浜市港南区の主婦(53)は初めて見る新千円札に興味津々の様子。「若い人たちが北斎の絵を見る機会になればいいですね」と話した。
同館企画普及課長で学芸員の桑山童奈さんは「神奈川沖浪裏と同じ時期に描かれた作品も紹介している。北斎の旅への憧れを感じてもらえれば」と来場を呼びかけている。
展示は8月20日までで、午前9時半~午後5時(入館は同4時半まで)。常設展観覧料(一般300円~)が必要。月曜休館。問い合わせは同館電話045(201)0926。