1年の罪やけがれを託した茅舟(かやぶね)を沖合に流し、無病息災を祈る富岡八幡宮(横浜市金沢区)の伝統神事「祇園舟」が7日、執り行われた。心身をはらってすがすがしい気持ちで夏を迎えようと、多くの見物客らでにぎわった。
同八幡宮で800年以上継承されている神事。1990年に、市の無形民俗文化財第1号に指定されている。
青茅で作られた茅舟は長さ70センチ、幅50センチの楕円(だえん)形。小麦の粒を敷いた折敷(おしき)に大麦で作った団子を供え、中央に大きな御幣を、へりに1年分12本の御幣を立てる。麦が熟する初夏に初穂を供えることで、けがれを払う「夏越(なごし)のはらえ」と合わせ、五穀豊穣(ほうじょう)や豊漁を祈る意味もあるという。
八幡宮の大祭式でおはらいを受けた後、茅舟は「祇園舟保存会」のメンバーの手で沖合へ。櫓(ろ)こぎの木造船「八幡丸」「弥栄丸」で運ばれ、海に流された。その後、罪やけがれからいち早く逃げるため、2隻は全速力で浜まで競漕(きょうそう)し、見物客らを盛り上げた。
16歳から参加する保存会の野本太助会長(84)は「皆さんが協力してくれた。今年は最高です」と満面の笑みを見せた。