東京都知事選で3選を果たした小池百合子知事が自身の選挙戦を踏まえ、公選法の改正を岸田文雄首相(自民党総裁)に迫った。選挙の混乱は広く伝えられ社会問題化しており、国会も与野党を超え対策に乗り出す見通しだ。9日に当選報告で首相官邸を訪れた際の「公正な選挙を守れ」との直訴は政権内外に浸透し、首相サイドにかすかに残されていた総裁選前解散の可能性を完全に封じ込めた格好だ。
この問題は都知事選の前から始まっていた。4月の衆院東京15区補選では政治団体「つばさの党」の候補者らが他陣営の演説を妨害した疑いで逮捕された。容疑者は「選挙活動の一環」などとして自分たちの行動の正当性を主張した。
都知事選を巡っては候補者を大量に擁立した政治団体「NHKから国民を守る党」が掲示場の枠を事実上販売し、同一のポスターが複数枚貼られ「掲示板ジャック」といわれる事態が発生。一時は全裸同然の写真や風俗営業の広告も掲示され、「公序良俗に反する」として警視庁も警告に乗り出す騒動に発展した。
小池知事は首相との会談後に記者団の取材に応じ「補選から始まった一連の問題を首相に伝えた。公選法の想定を超えるものが問題視されており、しっかりと対応していただきたいと申し上げた」と説明。政府関係者によると官邸サイドからは10日、関係省庁に対し都知事選などでの諸問題の整理と公選法改正の方向付けについて資料作成の指示が出されたという。