神奈川県内の野球場で唯一、手書きのスコアボードが残る「いせはらサンシャイン・スタジアム」(伊勢原市西富岡)では2回戦までの大会日程を終えた。1991年の球場完成から球児の奮闘を見守ってきたが、老朽化で今冬に発光ダイオード(LED)化される。
深緑の回転盤の裏では、厚木北の野球部員が試合の補助員として手伝っていた。高さ12.6メートルの建屋内では本部から選手交代を知らせる電話を受け、選手名とシート番号が書かれたボードを手動で差し替える。各チームを3、4人で分担するが、「一度逆のチームに名前を出しちゃった」と同高1年生の沢田はばつが悪そうに笑った。
バックスクリーンからの眺めは特別な刺激だ。回転盤の脇に設置された小窓から試合に食い入り、「ゲッツーすご」「球、速っ!」など感嘆の声を上げた。
ノスタルジックで暖かみを感じさせるスコアボードも、この夏が最後。第二試合を勝ち抜いた横浜氷取沢の中堅・岡は「野球が人の手に支えられていることがよく分かる。感謝の気持ちが強くなった」と白で書かれた自分の名前を見上げた。