自動車内装部品大手の河西工業(神奈川県寒川町)は産業廃棄物となるウニ殻を使った充塡(じゅうてん)材(フィラー)「ウニライト」の開発を進めている。同社の内装部品以外の素材開発は初。健康被害の原因にもなる化学物質の揮発性有機化合物(VOC)の吸着や消臭効果を期待できるほか、増量材として石油由来の材料を軽減させ、カーボンニュートラル(CN)の実現にも近づきそうだ。
ウニライトはウニ殻を使ったフィラーで同社が2022年から開発している。ウニ殻を機械で粉砕して高温で加熱し、粉状にすることで、プラスチック製造などの増量材として活用できる。
ウニ殻は鉱産物炭酸カルシウムと同様の補強効果があるため、プラスチックの硬さを調整することもできるという。開発を手がける新製品開発部主担の遠藤豊和さんは「天然素材を使うことで石油由来の樹脂使用量を削減し、CN化の実現も可能となる」と力を込める。
同社によると、ウニ殻は多孔構造が特徴で、従来の炭酸カルシウムと比べて約30倍の表面積があることから、「消臭や吸着効果も高くなるのでは」と開発に至ったという。