国の文化審議会は19日、国登録有形文化財(建造物)に川崎市川崎区の「北條鉄工事務所」など7件(3カ所)を登録するよう盛山正仁文部科学相に答申した。登録されると、県内の同文化財(建造物)は334件(171カ所)となる。県教育委員会などによると、工場そのものが同文化財(建造物)に登録されるのは珍しいケースという。
川崎市教育委員会によると、「北條鉄工事務所」のほか、「北條鉄工原寸工場」や「北條鉄工クレーンヤード」など4件の建造物も登録するように答申した。
「北條鉄工株式会社」が所有する、京浜工業地帯の一角に位置する「北條鉄工事務所」や「北條鉄工原寸工場」は1962年に建設され、同文化財としては比較的新しいものという。周辺には日本鋼管(現JFE)などの大規模な工場が立地し、鉄骨製作の事業を支えてきた。しかし、2000年代以降は大規模工場の移転や設備の縮小が進み、他の工場は撤退を余儀なくされたという。
当時の一般的な技法が用いられ、「北條鉄工事務所」の3階には戦後隆盛した丸鋼のラチス梁(はり)が取り入れられ、高度経済成長期の工場事務所が残されている。