横浜市教育委員会が教職員による性犯罪事件の公判で第三者の傍聴を妨害した問題を巡り、弁護士3人の検証チームが26日に会見を開き、組織的な動員は「公開裁判の原則」を定めた憲法の趣旨に反している上、職務の範囲を規定した地方教育行政法に抵触する行為だと結論付けた。公表された報告書からは、市教委の従来の説明とは食い違う事実も浮き彫りとなった。
竹森裕子弁護士をまとめ役とする検証チームは、市教委関係者ら27人への聞き取りや約200人への書面調査の結果などに基づき、組織的な動員の「意思決定者」は、鯉渕信也前教育長と、方面別に設置された学校教育事務所の所長と認定。
目的については、教職員による不祥事の隠蔽(いんぺい)や加害者である身内の擁護ではなかったとの見解を示した。
ただし、公判の過程で出た情報を第三者に触れさせないことにより、性被害を受けた児童生徒の特定を防ぐことが主眼だったと判断するには「疑問がある」と指摘。
理由として、公判でのプライバシー保護の在り方を事前に確認したり、動員による二次被害防止の効果を確かめたりした形跡が乏しい点を挙げた。