横浜市教育委員会が教職員による性犯罪事件の公判で第三者の傍聴を妨害した問題を巡り、職員の動員に伴う交通費や給与の返還を求めた2件の住民監査請求で、市監査委員は5日までに、動員の命令には「明白な瑕疵(かし)があるとは言えない」と結論付け、請求を棄却した。一方で、監査に必要な資料の提出を期限間際まで遅らせた市教委に対し、「大いに反省を求める」と異例の批判を展開した。
監査結果では、弁護士による検証チームが先月まとめた結論を踏まえ、職員の動員は教育委員会の職務を定めた地方教育行政法に抵触すると判断。市教委が主張する被害児童・生徒のプライバシー保護という目的についても、各公判で氏名や学校名が伏せられた事実から、合理的な必要性はなかったと認定した。
ただ、裁判所への動員を命じられた職員には違法性の認識がなかったなどと指摘。命令には「重大かつ明白な瑕疵」はなく、地方自治法に基づいて監査対象となる過去1年の交通費8万8636円と、給与総額296万802円の支給は不当ではないとの見解を示し、いずれの請求も退けた。