人工知能(AI)と思い出話に花を咲かせ、いつまでも若々しく-。神奈川県横須賀市は認知症予防に対話型の生成AIを活用した音声会話サービスの開発に取り組む。今秋から特別養護老人ホーム(特養)などで試験利用を開始し、高齢者が実際に使用しながら予防に役立つかを産官学で検証する。上地克明市長は「認知症に特化したAI活用ができないか取り組んできた。本来は人が寄り添う社会であるべきだが、有益なものをつくっていきたい」と意気込んでいる。
市内では高齢化が加速している。特に85歳以上の高齢者数は深刻で、国の推計では2030年には20年の1.5倍となる約2万9千人になる見込み。厚生労働省によると、この年代の認知症発症率は85~89歳で約33%、90歳以上で約50%と高い。他者との交流頻度が低いほど認知症の発症率が高くなるとされるが、市内の高齢者世帯の3分の1が独居という。市は会話が発症の予防につながると捉え、気軽にAIと会話を楽しむサービスに着目した。