岸田文雄首相の不出馬表明を受け、自民党総裁選が大混戦となる可能性が出てきた。菅義偉前首相(衆院2区)ら反主流とされてきたグループは“対岸田”で候補一本化を模索してきたが、現職撤退となってその必要がなくなったからだ。岸田首相も後継指名はせず「出たい人が出られる」(自民幹部)環境だ。
前回総裁選で河野太郎デジタル相(15区)の勝利を目標に結束した小泉進次郎元環境相(11区)と石破茂元幹事長の「小石河連合」の行方が焦点。すでに出馬意欲を明らかにしている河野氏と石破氏に加え小泉氏を推す声も高まり、三者そろい踏み出馬の可能性も取り沙汰されている。
岸田派内には後継として同派の上川陽子外相の名も浮上するが、本人が意欲を示していないことからムードに高まりはない。むしろ首相を支えなかった格好の麻生太郎副総裁、茂木敏充幹事長への反発が強まってきた。
麻生氏と石破氏のあつれきは政界では周知の事実だが、岸田派関係者は「敵の敵は味方だ」と明言。麻生氏が同じ派閥の河野氏を担いだり茂木氏が出馬したりした場合の石破氏への支援の可能性をにじませている。