自民党は20日、総裁再選不出馬を表明した岸田文雄首相の後任を選ぶ総裁選を9月12日告示─27日投開票で行うことを決めた。日程上、同月末の国連の未来サミットや総会を事実上無視し新首相を送り込む可能性は消滅。日本の新リーダーをアピールする機会を放棄した格好だ。
神奈川では河野太郎デジタル相(衆院神奈川15区)が出馬方針を固め、小泉進次郎元環境相(11区)の出馬が取り沙汰されるが、神奈川県内関係者からは「世界からの目を意識しない決定だ」(ベテラン党員)との批判や疑問の声が上がった。
9月22日から始まる未来サミットは2020年の国連創設75周年にあたり開催が提唱された。「グローバル・ガバナンスの強化」を目標とした「一世代に一度の機会」との位置付けで45年に迎える100周年に向け、SDGs(持続可能な開発目標)に続く環境保護施策の立案などを各国首脳が行う。総会の一般討論演説は24日から始まる予定だ。投開票が27日となったことで新総裁の参加は不可能となった一方、岸田首相が現職の立場で出席できる形となっている。
永田町には「岸田総理の外交総括の場となる。総理経験者としての今後の活躍につながる」(自民幹部)との前向きな見方がある一方、野党からは「まるで岸田総理の卒業旅行で『国連軽視』との国際的な批判を招く」(立憲民主党議員)との指摘も出ている。
岸田首相の党総裁任期は9月30日まで。総裁公選規程では「議員投票は総裁の任期満了前10日以内に行う」と定めていることから「同月20日から29日までの間」の投開票日設定が既定路線とされてきた。
党関係者によると、このままでは新首相を国連行事に参加させることが困難なことから、8月末にも政治刷新全国車座対話を総括する両院議員総会を持ち、その中で公選日程前倒しを確認する構想が一部で検討されたという。しかし「国連総会とかぶっても総裁選日程は変わらない」(茂木敏充幹事長)などの意見が大勢で執行部レベルの議論とはならなかったとされる。