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【自民総裁選】大きい小泉、小さい河野…「公平性に疑義」 歴代総裁写真入りPRポスターが波紋、政治とカネ想起も

カナロコ by 神奈川新聞 2024年8月22日 19時11分

 自民党の広報本部が総裁選(9月27日投開票)のアピールに向け作製したPRポスターが話題や波紋を広げている。歴代総裁の写真を散らして掲載しているが、大きい小泉純一郎氏(首相任期1980日)と小さい河野洋平氏の差は一目瞭然。息子の河野太郎氏(衆院神奈川15区)が出馬の意向を固め、小泉進次郎氏(11区)も最終調整に入っていることに照らして、県内関係者からは「公平性に疑義あり」との指摘も出ている。

 デザインは競争や調和の両方に通じる「THE MATCH」の赤い文字を中央に配置。1955年の立党以来、党広報が撮りだめてきた7万枚に及ぶ総裁の写真から厳選したという。小泉純一郎、安倍晋三(同3188日)、田中角栄(同886日)の3氏の扱いが特に大きい。

 平井卓也広報本部長は21日の発表会見で、写真の大小について「総裁在任期間や認知度を考慮した」と説明した。一方で「作製には人工知能(AI)も活用した」と付言。責任の所在を人為的判断や作業のみにとどめず巧みに散らした。

 河野家の支援者は総裁選の構図を念頭に「下野当時に党再生へ汗をかいた人(洋平氏)と『自民党をぶっ壊す』と主張した人(小泉純一郎氏)との扱いがあまりに違う」と批判。河野太郎氏を推す議員からも「小泉氏に有利な印象操作だ」との憤りが聞かれる。

 一方で小泉進次郎氏の周辺からも戸惑いが漏れる。出馬を促す議員は「進次郎氏とお父さん(純一郎氏)は別人格」とした上で「ポスターは世襲批判を呼び起こしかねない構図だ」と懸念を隠さなかった。

 正面中央に安倍派トップだった安倍氏や田中角栄氏を配したことも「派閥裏金事件や金権政治を呼び起こす」(県内の古参党員)と一部には不評。ただ「注目され話題になるだけありがたい」(自民幹部)というのが党執行部の本音のようだ。

 ポスターは1万枚を刷り都道府県連などに配布して活用する。再選出馬を見送った岸田文雄首相の掲載も間に合ったが、扱いは小さめだ。再登板説がついて回った前首相の菅義偉氏(2区)も載っており、こちらも再選出馬見送りを体現した格好。自民内では「これで『(岸田氏の)後任は前任(の菅氏)』との可能性はなくなった」との冗談も飛び交っている。

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