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「友釣り」のアユ増やしたい 神奈川県などが相模原の道志川に3万匹放流

カナロコ by 神奈川新聞 2024年8月23日 11時20分

 おとりアユを使って縄張りのアユを針にかける「友釣り」で釣れるアユを増やそうと、神奈川県内水面漁業振興会(横浜市中区)と県水産技術センター内水面試験場(相模原市緑区)が、友釣りで捕獲したアユから採取した卵から育てた「背掛かりDNAアユ」と呼ばれる約3万匹を、同区の道志川支流に放流した。数日後に友釣りをしたところ、高い比率で放流したアユが釣れたという。相模川第一漁業協同組合の我妻竜雄組合長は「おとりアユに激しく攻撃してよく釣れ、手応えも良い。さらに成長すればもっと釣りが楽しくなる」と評価している。  

 友釣りは、縄張り意識の強いアユの性質を利用した釣り方。おとりアユを川に入れ、縄張りに入ってきたおとりアユに体当たりしてくるアユを針にかけて釣り上げる。特に針が背中にかかって釣れるアユは、釣り人が感じる手応えも良く「背掛かりアユ」として好まれるという。

 逗子市議でアユ釣りの人気交流サイトを運営する平野和之さんによると、福島県の団体や宮城県の企業が数年前から、背掛かりアユの遺伝子を持ったアユを放流する取り組み始め、平野さんが「背掛かりDNAアユ」として提唱。昨年と今年は、全国の一部河川で試験放流が行われているという。「背掛かりアユ」は、群れをつくる「群れアユ」に比べて攻撃性の強いDNAを持つという研究結果もあるという。

 我妻組合長が平野さんのサイトを通じてこの取り組みを知り、相模川にも取り入れようと、同試験場に協力を求めた。2022年10月に、漁協が友釣りで釣ったアユ約100匹を試験場に提供。試験場はこのうち生き続けた雌2匹から数千粒の卵を採取。それを基に次の世代を育て、12~13センチ程度に成長した約3万匹の「背掛かりDNAアユ」を今月5日に相模川支流に当たる道志川支流の「此(こ)の間(ま)沢」に放流した。

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