21日の天皇杯全日本選手権4回戦で、横浜MのFW植中朝日(22)が古巣相手に躍動した。2―2の後半追加タイム10分に左足で決勝弾。パリ五輪から凱旋(がいせん)したストライカーは「焦りはあったけど、トラップした時にいける感じがした。自信を持って打って良かった」と顔をほころばせた。
ドラマは90分を過ぎてからだった。追加タイム2分に勝ち越されるも諦めない。同8分にFW西村の一撃で窮地を脱すると、2分後に決めたのは長崎で飛躍の礎を築いたオリンピアンだった。
「延長に入らないで決着が付きそうな気がしていた。相手も勝ち越した時点で緩みが出ていたので隙はあるだろうなと」。これで2回戦から3戦連発。慣れ親しんだ地で浴びた「愛のあるブーイング」も、「人柄がいい人が多いし、それが根付いているチーム。好きなクラブだし楽しかった」と惜しみない愛で包み込む。
とはいえ、満足は到底していない。「見ても分かったと思うけど、力みがあってシュートチャンスを何回も仕留めきれなかった」。定位置取りへなお一層の進化を掲げ、走り続けている。
旧知の選手やスタッフから「『余計なことをした』とも言われたけれど、成長したなと言ってもらえた」と、はにかむ22歳。忘れ得ぬ長崎の夜をターニングポイントとできるか。