お盆休みのUターンラッシュに首都圏を直撃した台風7号は、猛暑のさなか、非常に強い勢力を保ったまま接近した危険な台風だった。房総半島の沖合を通過し、上陸はしなかったものの、西寄りの進路であれば風雨の被害や影響が深刻化し、停電などのリスクが高まった恐れもある。地球温暖化や海面水温の上昇を背景に、台風が衰えずに接近するケースが増えており、夏場の台風に今後も注意が必要だ。
◆高い海水温の上を進む
「海面水温が非常に高い所を進んでくるので、衰えない。それどころか、さらに発達するだろう」
横浜国立大台風科学技術研究センター長の筆保弘徳教授は台風7号の来襲前、危機感をあらわにし、「最大級の警戒」を呼びかけた。「暴風への備えの徹底を。飛来物を減らすことが重要で、自転車や植木鉢などを中にしまってほしい」
日本の南で13日午前3時に発生した台風7号は、15日午前9時に「強い」勢力に発達。伊豆諸島の東をさらに発達しながら北上し、午後9時には「非常に強い」勢力となった。
千葉県銚子市の沖合に達し、神奈川県に最も近づいた16日夕時点の中心気圧は950ヘクトパスカル。非常に強い勢力を維持していた。中心付近では、最大風速45メートル、最大瞬間風速60メートルの猛烈な風が吹いていた。
気象庁の定義によると、「走行中のトラックが横転する」レベルで、「屋外での行動は極めて危険」な風だった。一方で、進行速度は時速15~20キロと遅く、影響が長期化する恐れもあった。
◆変わる動き
台風が発達するのは、海面水温が28度以上の海域とされる。通常、日本列島に近い海域は水温が低く、北上してきた台風は徐々に勢力を落とすが、接近段階の7号の進路周辺には30度以上の海域が広がっていた。
台風7号は関東や東北から離れた海域に進んだ17日午前の段階まで、非常に強い勢力を維持した。
海面水温が極端に高いのは、今夏の猛暑が関係している。筆保教授は記録的に高い状況を踏まえ、「台風が通過すると海水がかき混ぜられるが、さらにもう一つ別の台風が通過した後でないと、海面水温は下がってこない」と指摘。引き続き注意が必要と強調する。