赤字体質から構造改革を進める総合スーパー大手イトーヨーカ堂が閉店を計画していた33店舗のうち、県内は4店であることが分かった。1店はすでに営業を終え、川崎港町店(川崎市川崎区)の来年1月閉店が新たに判明。店舗を大都市圏に集約すると発表していたが、お膝元の関東でも縮小を余儀なくされている。
今月18日午後7時。42年の営業を終えた綱島店(横浜市港北区)の広場に、常連客や住民が押しかけていた。整列した従業員が一礼して出入り口のシャッターが閉まると、「ありがとう」のかけ声や拍手が響いた。見守った近隣の女性は「アイドルの解散ライブのようだった」。
綱島駅2キロ圏内に立地する総合スーパーは3店を残すのみ。開業当初から利用していた主婦の小泉悦子さん(75)は「あって当たり前だった。文具や生活雑貨の品ぞろえが充実していて重宝していた」と惜しんだ。
ヨーカ堂はイオンに次ぐ総合スーパー大手だが、低価格衣料品店やネット通販の台頭で業績が悪化している。2024年2月期の純損失は259億円となり、4期連続の赤字だった。
親会社のセブン&アイ・ホールディングスは、来年2月末までに33店を閉店して93店に縮小し、北海道、東北、信越地方から撤退する方針を発表した。16年2月末の182店から10年でほぼ半減する。