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真鶴町名簿不正、横浜地裁で初公判 前町長松本被告ら起訴内容認める 判決は9月26日

カナロコ by 神奈川新聞 2024年8月28日 23時0分

 神奈川県真鶴町の選挙人名簿抄本の不正利用問題を巡り、建造物侵入と窃盗の罪に問われた前町長松本一彦被告(58)=同町=と元町選挙管理委員会書記長の被告(60)=同=の初公判が28日、横浜地裁(吉井隆平裁判官)であった。両被告は起訴内容を認め、検察側は「町長当選を狙った極めて身勝手な犯行」などとして松本被告に懲役1年、元書記長の被告に懲役10月を求刑し、即日結審した。判決は9月26日に言い渡される。

 起訴状などによると、2人は共謀して2020年2月2日、町の書庫に不正に入手した鍵で侵入し、19年4月の知事選で使われた選挙人名簿抄本を持ち出して盗んだ、とされる。

 検察側は松本被告について「名簿を使い自身の選挙を有利に進めようとし、犯行を主導した」と指摘。両被告を「公正な選挙の実施に強い疑念を抱かせ、町職員の立場を悪用した極めて悪質な犯行。町政の混乱は甚大で、刑事責任は重大」と非難した。

 松本被告の弁護側は「当時は刑法上の犯罪に当たるとの認識がなかった」とした上で「民事訴訟の判決で命じられた額を賠償し、十分な社会的制裁も受けた」などとし、罰金刑が相当と主張。元書記長の被告の弁護側も「できる限り寛大な判決」を求めた。

 名簿の不正使用を巡っては、町が22年9月、現職町長だった松本被告ら2人を窃盗や建造物侵入、地方公務員法違反(守秘義務違反)、公選法違反(職権乱用による選挙の自由妨害)の容疑で刑事告発する異例の事態となった。

 県警が書類送検し、横浜地検は今年5月、建造物侵入と窃盗罪で両被告を在宅起訴。地方公務員法違反や公選法違反、一部の窃盗容疑は不起訴処分とした。

 松本被告は20年9月に初当選したが、不正利用問題が発覚して21年11月に辞職。出直し町長選で再選されたが、昨年9月の住民投票でリコール(解職請求)が成立して失職。同11月の町長選には出馬しなかった。

 今年3月には、町民有志約50人が名簿の持ち出しでプライバシーを侵害され精神的苦痛を受けたなどとして損害賠償を求めた訴訟で、横浜地裁小田原支部が両被告と元町長の青木健町議の3人に計56万円の賠償を命じ、青木氏のみが控訴した。

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