中国・宋から伝わった曜変天目茶碗(わん)の再現に取り組む神奈川県中井町在住の陶芸家、瀬戸毅己(たけみ)さん(65)の個展が28日、横浜高島屋美術画廊(横浜市西区)で始まった。曜変天目茶碗や杯など約35点が並ぶ。9月2日まで。
曜変天目は、漆黒や深い瑠璃色の地の内側に散らばる星のような大小の斑紋と、虹のような光彩が特徴。神秘的な輝きを持つが製法は残っておらず、再現は不可能とされてきた。
その器に魅了された瀬戸さんは、1990年ごろに中国古陶磁の製法を伝える本を見つけた。その通りに焼くと細い縦筋が無数につく「禾目(のぎめ)天目茶碗」の再現ができた。それをきっかけに、試行錯誤しながら研究を続けているという。
瀬戸さんは「織田信長が愛し、本能寺の変で焼失した曜変天目はどのようなものだったのかを常に考えながら作っている。一つでも多く焼くことで、幸せを見つけている」と笑顔で話す。