台風10号と暖かく湿った空気による記録的大雨で、1日にかけて観測された72時間雨量が小田原市と海老名市、平塚市、相模原市中央区の計4地点で観測史上最多を更新した。負傷者は5人となり、住宅の浸水被害は計68棟に増えたが、集計が追い付いていない自治体もあり、被害はさらに拡大する見通しだ。
台風は1日正午の観測で熱帯低気圧に変わったが、県内にはその後も活発な雨雲が相模湾側から断続的に流れ込み、局地的に激しい雨が降った。ただ、当初予想より雨量は増加せず、県内29市町村に発表されていた警戒レベル4相当の土砂災害警戒情報や自治体の避難指示は解除が進んだ。横浜地方気象台はこれまでの大雨で地盤が緩んでいるとして、2日にかけて土砂災害に警戒するよう呼びかけている。
今回の大雨で総雨量が県内最多となっている小田原市では、1日午前7時半までの72時間に観測された雨量が529.5ミリを記録。1976年の統計開始以降で最も多く、平年の8月1カ月分の約3倍もの雨が降った。海老名市(444.5ミリ)と平塚市(427.5ミリ)相模原市中央区(420.5ミリ)でも、72時間雨量がこれまでの最多記録を塗り替えた。
このほか、箱根町や山北町で降り始めからの総雨量が450ミリ前後に達するなど、西部の山沿いを中心に雨量がかさんでいる。
県によると、負傷者5人のうち、寒川町では60代男性が歩行中に転倒し、軽傷を負った。伊勢原市の70代男性も軽傷だが、崩れた土砂が自宅に流れ込んできたという。
住宅の浸水被害は、川があふれた二宮町や平塚市などで相次ぎ、床上浸水が23棟、床下浸水は45棟が報告されている。土砂崩れは平塚市や湯河原町、大磯町などで計82件に上っている。