ゲリラ豪雨などに備えて神奈川県厚木市が小田急線本厚木駅周辺の中心市街地に整備した二つの雨水の貯留施設が、大雨の降った7月31日と台風10号が近づいた8月30日の2回、いずれも貯留率100%のフル稼働となった。地下の排水管が流しきれないほど水量が増えた際に、いったん貯留施設に水を流し込んで浸水被害を軽減する役割を担う。今年は昨年や一昨年と比べて大雨が増えたものの、フル稼働した両日とも中心市街地の大規模な浸水被害はなく、貯留施設が一定の効果を示した。
中心市街地一帯は「厚木排水区」(204.6ヘクタール)に当たり、市は2019年9月、南部のあさひ公園地下(同市旭町)に南地区雨水貯留施設(貯留量1万4800立方メートル、小学校のプール約40杯分)を整備。昨年3月には、北部の厚木中央公園(同市寿町)やその周辺に長さ1130メートル、直径2.4メートルのパイプ状の北地区貯留管(同5100立方メートル、同約14杯分)を設置した。
市内では13年4月6日に同市としては過去最大の1時間雨量65ミリの非常に激しい雨が降り、市河川下水道施設課によると、中心市街地を中心に床上浸水3戸、床下浸水4戸、道路通行不能1カ所の被害が出た。さらに同年9月15日にも床上2戸、床下18戸、道路通行不能4カ所となった。市はこれを教訓に、「1時間雨量65ミリでも浸水深さを10センチ以下に抑える」を目標に掲げ、計約60億円かけて二つの貯留施設を整備した。