小田急電鉄が伊勢原市西部で建設計画を進める「伊勢原総合車両所(仮称)」を巡り、市内の50代男性から「スマート新駅はいつできるのでしょうか」という問い合わせが神奈川新聞「追う! マイカナガワ」取材班に届いた。市の基盤整備にも関わる車両所と新駅整備について、関係者に話を聞き、可能性を探った。
きっかけは、3月末に地域住民向けに開催された車両所移転計画に関わる説明会での質疑応答だった。「参加者から新駅についての質問が挙がったようだ」と男性から指摘があり、複数の市民からも同様の声が聞かれた。
伊勢原総合車両所は、現在、同社の車両検査や点検・整備が行われている大野総合車両所(相模原市南区)の後継施設だ。小田急線相模大野駅隣接の同車両所は1962年開設で老朽化しており、開設当時の主力だった4両編成(現行は10両)を前提としているため非効率であることから、伊勢原市串橋地区への移転計画が浮上し、市と同社で昨年3月に連携協定を締結した。
車両所移転とセットで地元でささやかれているスマート新駅とは何なのか。同社を訪れ担当者に尋ねたところ、「車両所移転と新駅は別の話」「社内として駅を造ることは決定していない」との答え。あくまで今年3月の説明会は車両所建設に伴い、切り替わる道路や水路の機能補償や2033年の操業を目指したスケジュールなどの説明というのだ。
実際に、車両所建設に向けて関係機関に申請しているのは「鉄道施設変更の認可」であり、駅を造るために必要な「鉄道事業基本計画の変更」ではない。同社広報は「連携協定発表時に一部報道が先行して『スマート新駅』と伝えてしまった。地元にはその印象が強いのかもしれない」と付け加えた。