横浜市が取り組む「よこはま防災力向上マンション」の認定制度で、地震への備えに力を入れている4物件が新たに加わった。被災後も自宅にとどまる「在宅避難」に向け、居住者に備蓄を促すとともに、地震後の安否確認やトイレ点検の手順を定めるなど自助、共助の両面で工夫している。
8月に認定されたのは、磯子区の「Brillia City 横浜磯子」(1230戸)、金沢区の「シティ能見台ふれあいの街」(624戸)、ともに戸塚区の「サンハイツ戸塚」(97戸)と「グランフォーレ戸塚ヒルブリーズ」(206戸)。制度は2022年に始まり、今回の認定で計39物件に増えた。市は共用スペースなどがあるマンションに防災拠点としての役割を期待している。
「Brillia」は13の棟やフロアごとにリーダーを決め、住民向けの防災マニュアルを作成するとともに、マンホールトイレの設置に取り組んでいる。「シティ能見台」は在宅避難を前提としたマニュアルを配布。排水管の水漏れなどが心配される地震後のトイレについて、使用再開までの流れを共有している。
「サンハイツ」は非常用の発電機やコンセントを備えたほか、各家庭で10日分の水や食料を備蓄するよう呼びかけている。「グランフォーレ」は安否確認やエレベーターの閉じ込め確認の訓練を実施し、イベントを通じて近隣町内会との交流も図っている。
今月9日の認定証授与式には、各物件の担当者が出席。サンハイツ戸塚防災会の渡辺喜彦会長は「管理組合や自治会の役員が高齢化し、活動が不安になってきた。そのため有志が防災会を結成し、訓練や講習などに取り組んでいる」と述べた。