鎌倉五山の建長寺(神奈川県鎌倉市山ノ内)で毎週土曜日に開かれている「親と子の土曜朗読会」が28日で千回を迎える。コロナ禍を除けば19年間、毎週休まず約3万人が午前のひとときに般若心経と座禅を体験し、古典文学などの朗読を聞いて心を清める“平成と令和の寺子屋”。主催者は「今のまま変わらず、これからも自然体で続けていければ」と気持ちを新たにしている。
朗読会はNPO法人「日本語の美しさを伝える会」が2005年1月から建長寺の協力を得てスタート。同会代表理事で、出版社「かまくら春秋社」創業者でもある伊藤玄二郎さんが「子どもたちの活字離れが進んでいる。居場所のない子どもたちの居場所をつくりたい」と建長寺の関係者に相談し企画した。
境内にある正受庵(しょうじゅあん)を会場に毎週土曜日、幼児を連れた親子連れからお年寄りまで毎回20人程度が参加。最初は般若心経を唱えて5分間の座禅を組んで心を落ち着かせてから朗読会に入るのが習わしとなっている。
スタート当時は関東学院大学教授として日本文学を教えていた伊藤さんのゼミの学生らが運営スタッフとして協力していたが、現在は朗読会で育った子どもたちも運営側に回るようになった。般若心経は建長寺の僧侶の指導を受けて、学生らのスタッフが読経している。