上瀬谷通信施設跡地(横浜市瀬谷、旭区)の開発に向けた「海軍道路」の拡幅に伴い、伐採が避けられない見通しとなっていた桜並木について、市は開会中の市会で、状態が良好な桜を跡地の一角に移植する方針を明らかにした。拡幅工事と合わせて木々の入れ替えを進め、桜並木を「再生」する構想も表明。将来的に一帯を600本以上の桜で彩り、新たな名所づくりに取り組むという。
市によると、上瀬谷跡地を南北に貫く海軍道路は環状4号の一部で、全長3キロ弱。拡幅対象の北側部分を中心にソメイヨシノなど2品種が植わっている。桜の見どころとして長らく親しまれてきた経緯があり、伐採問題が浮上した際には、複数の市民グループが市に対して計3万6千人分を超す署名を提出した。
市は20日の市会常任委員会で今後の方向性を報告。樹木医に倒木の危険性が高いと判定された桜を除き、可能な限り移植する目標を掲げた。移植先は跡地の南側で、2027年に国際園芸博覧会(園芸博)を開催し、その後に公園を整備するエリア。加えて約40品種の桜を植樹し、開花時期や色合いの違いを楽しめる観光スポットを目指す。
移植が難しい桜は、倒木の危険性を踏まえつつ伐採する。並行して、ソメイヨシノに似た淡いピンクの花を咲かせる「コシノヒガン」の植樹作業を展開。海軍道路北側の拡幅工事完了に合わせ、新たな木々によって桜並木を再生する流れを描く。公園エリアと海軍道路の桜は、合計600本以上を想定しているという。