相模原市はこのほど、市内の全指定避難所の備蓄品にコミュニケーション支援ボードを加えた。知的障害や自閉症などで話し言葉によるコミュニケーションが難しい人の意思表示を補助するツールで、誰もが当たり前に過ごせる避難所運営につなげる。
市によると、指定避難所は地震や土砂災害などで自宅に戻れなくなった人が新たな拠点を見つけるまで避難生活を送る施設で、市内の小中学校など105カ所が指定されている。新たに備蓄した支援ボードはA4判両面に「気持ちが悪い」「苦しい」といった体調面や、「はい」「分かりません」などの反応をイラストで表現。体の部位や、「すこし」から「すごく」までの度合いも指さしで伝えられる。全避難所に2枚ずつ備えた。
このほか、手話通訳者や要約筆記者が着用するビブスを各2枚ずつ、視覚障害者向けの空気で膨らませる非常用白杖(はくじょう)も2セットずつ配備した。
災害時の避難所を巡っては、障害の特性に応じたさまざまな配慮の必要性が指摘されており、市は1月の能登半島地震を受けて当初予算に急きょ計上。高齢・障害者福祉課は「障害の有無にかかわらず、誰もが当たり前に過ごせる指定避難所に向け活用していきたい」としている。