小田急線本厚木駅近くの複合商業施設「アミューあつぎ」(神奈川県厚木市中町)が、今年で開業10周年を迎えた。建物はもともと民間のファッションビル「厚木パルコ」だったが、閉店後に市が取得し、中心市街地の活性化を目的に整備を進めてきた。公共施設と商業施設がほぼ半々の割合で入居する珍しい形態で、10年間の来館者数は延べ3千万人を超え、市のランドマークとして市民に親しまれる存在になった。
厚木パルコは1994年3月に開業。若者らの人気を集めたものの、2008年に閉店した。集客拠点の役割を担っていただけに他の商業施設の進出が期待されたが、後継の商業施設が決まらず、4年間にわたってフェンスに囲まれたままとなった。周辺の市街地ではごみのポイ捨てや不法駐輪が増えるなど治安面の問題も顕在化し、ある市職員は「閉塞(へいそく)感を早く打破してほしい、という声をよく聞いた」と振り返る。
市は状況を打開するため、自らビル取得を決定。12年に約8億5千万円で購入し、全面改修した上、14年に「アミューあつぎ」としてオープンした。
地下2階、地上10階建て延べ床面積約2万5千平方メートル。地下1階~地上4階が商業ゾーン、5~8階が公共ゾーンでギャラリーや貸しスタジオ、会議室などの「あつぎ市民交流プラザ」と子育て施設。9、10階には映画館が入る。