石破茂首相は4日、就任後初めての所信表明演説で自民党派閥の裏金事件に触れ「失った国民の信頼を取り戻す」と強調した。しかし、政治改革の具体策は示さず、党総裁選で示した言動がぶれる事態に野党が反発。激しいやじや怒号が飛び交う波乱の幕開けとなった。
「『ルールを守る』なんて当たり前。一国の首相が言うことなのか。聞いていて全く響かなかった」。立憲民主党の江田憲司氏(衆院8区)は裏金事件を受け、政治の信頼回復を進める文脈で「ルールを守る」と訴えた首相をこう批判した。
総裁選では裏金議員の公認を「厳正に判断する」と踏み込んだ首相だったが、演説では裏金議員に反省を求める程度にとどめ「党内融和」を優先した姿勢に野党は一斉に反発した。
日本維新の会の浅川義治氏(比例南関東)は、「石破氏の演説はまさにパロディー。やっぱり変わらない自民党というのが明確になった」と酷評。「首相が代わっても有権者の自民への不信は途切れていない」とし、衆院選では自民支持から離れた保守層の受け皿として勝利を目指すとした。