今季限りでの現役引退を表明した広島・野村祐輔投手(35)が5日のヤクルト戦(マツダ)で引退登板を終えた。野村に憧れ、アマチュア時代に同じ経歴をたどってきた横浜DeNAの佐野恵太外野手(29)は勇姿を見納め、気持ちを新たにした。
中学時に入団した岡山県の硬式野球チーム「倉敷ビガーズ」にはかつて野村が在籍していた。「野村さんがいたから行きたい」。広島・広陵高、明大と進路を選択する際には、いつもそんな思いが湧いてきたという。野村が出場した2007年夏の甲子園にも中学のチームメートと応援に駆けつけ、佐賀北との決勝は記憶に深く刻まれている。「僕の野球人生の道しるべのような存在だった」と感謝する。
プロでの対戦打率は2割6分3厘(19打数5安打)。今季も8月13日にマツダスタジアムで対戦し、初回に先制適時打を放った。「同じ世界に自分が入れた。ここまで来られたんだという思いになった」と特別な時間だった。
背中を追い続けた右腕はリーグ3連覇に貢献し最多勝などのタイトルを獲得。13年間のプロ野球生活を全うした。ドラフト9位でのプロ入りから階段を駆け上がったヒットメーカーはその姿を目に焼き付けた。「プロ野球は厳しい世界だが、最後まで全力で駆け抜けたいと昨日(5日)の姿を見てさらに強く思った」