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「死ねよ」「ゴミ」…SNSで誹謗中傷されたDeNA関根選手 開示手続き 5件示談で金額を公表 「抑止効果に」

カナロコ by 神奈川新聞 2024年10月11日 18時20分

 プロ野球やJリーグなど、交流サイト(SNS)上で不本意な結果やさまつなプレーをした選手に批判の声や心ない言葉が浴びせられる誹謗(ひぼう)中傷が大きな社会問題となっている。横浜DeNAの関根大気外野手(29)は自身へのSNSでの誹謗中傷に対して声を上げ、一連の経緯を含めて示談金の金額まで公表することを決めた。「一時的な感情に任せた投稿がどれほどの事態を招くのか。実態を伝えることで同様のケースを減らしていきたい」と訴えている。

 今年4月26日の巨人戦での死球を受けて出塁したのをきっかけに、SNSには「あなたの家族全員が事故死で死んでほしい」といった悪質な投稿がいくつも届いたという。関根選手は選手会や弁護士と相談した上で、発信者情報の開示請求の申し立てに踏み切った。

 関根選手は8月15日、東京地裁が発信者情報開示を命じる仮処分を決定したことをXで報告した。

 「当たってねーじゃん、関根死ねよ」「やっぱ関根ゴミだわ」。

 自身を中傷する投稿内容や投稿者のアカウントを明らかにすると、その投稿は瞬く間に拡散され、野球ファンのみならず、芸能界や他競技のアスリートの関心を集めた。「政治家や芸能人、本当にいろんな業界の方がリポスト(拡散)してくれて、この問題の大きさを感じた」。11日時点で表示回数は異例の3158万に上っている。

 同日までに関根選手らは開示手続きや示談交渉を進め、ここまで5件の示談が成立した。20代の学生や30代の既婚者らが応じ、示談金は1人最大で90万円、総額は415万円に膨らんだ。今も開示手続きをしており、反省の色が見えない投稿者には「侮辱罪」を含め刑事告訴の検討も視野に入れている。

 関根選手は「中傷を受ける側の人も減らしたいし、当事者を含めて2度と感情任せで投稿することをやめてもらいたい。金額を公表することで(多くの人の)抑止効果になってほしい」と説明する。誰もが加害者、そして被害者になり得る可能性があることから、一連の経緯をXで公表してきた。

 示談金は裁判費用や開示請求で必要になった経費を除き、全てをこども食堂の活動を支援するNPO法人「むすびえ」(東京都)に寄付するという。「高校野球や他の業界も含めて誹謗中傷が減ってほしい。それが僕の思いなので」。

 シーズン当初に誹謗中傷に悩まされていた後輩の選手からSNSのアプリを削除したことを告げられ、この問題に強い関心を抱くようになったという。Xやインスタグラムを含め、SNSを活用して明確なメッセージを伝えてきた関根選手はあらためて強調する。

 「本来は人生を豊かにするツールだし、自分も学ぶことや考えるきっかけを与えてもらっている。もちろん、ファンの声援に背中を押されることもある。言葉は人生を左右するほどの力を持っているので、大切にしてほしい」。

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