コロナ禍から経済が再開し、県内で信用金庫が存在感を高めている。相互扶助の協同組織として、営利法人である銀行と経営理念の違いが際立つ。金利上昇下で資金調達の敷居が高まり始め、地域に根付いた「寄り添いやすさ」が中小企業の支持を集めている。
大手行が県東部に構えていた支店が統廃合され、地元企業は取引を打ち切った。乗り換え先が信金。銀行はコスト削減で店舗縮小が時流だ。企業側は「身近に相談先があるのは心強い」。信金担当者は「地域密着の真価が試されている」と気負う。
東京商工リサーチ横浜支店が8月に発表した県内企業8万2千社の主力取引銀行(メインバンク)調査によると、21.9%を占めた横浜銀行が調査開始の2013年から12年連続で首位。金融機関は一様に融資先を拡大し、20位まで前年と変動はなかったが、注目はシェア率の高下だ。横浜銀を含む地方銀行と主要行が軒並み低下する一方、県内に本店を置く8信金のうち7信金は小幅ながら上昇した。
信金勢トップで5位の横浜信用金庫は8%台に浮上。3月末の法人融資先は前年同期より484先増えた。神名圭・営業統括部長は「事業者支援こそ当金庫の強み。顔の見える営業活動が結実している」と手応え十分だ。2年前に東京都大田区と鎌倉市大船に新設した法人営業所が、新規先を掘り起こしている。