川崎市の福田紀彦市長は15日、インターネット上で横行するヘイトスピーチについて国の対応を改めて求めた。定例会見で「減るどころか増える傾向にあり大変な危機感を持っている。本市だけでなく国全体の問題で、野放しの状況は非常に遺憾だ」と述べた。
市は差別のない人権尊重のまちづくり条例に基づき、ネットヘイトの削除要請をプロバイダー企業に行っているが、市長は「外国資本の企業になかなか応じてもらえない。一自治体の取り組みに一定の限界を感じる」と指摘。「どうすればなくなるか、課題認識を共有する自治体とも情報交換しながら、必要ならば国に働きかけていきたい」と話した。
市は有識者の審査会に意見聴取する仕組みを設け、厳格な条例運用を重ねてきた。言論規制に関する問題は生じていないにもかかわらず、ヘイト規制を巡っては「表現の自由」を理由に慎重さを求める認識不足の議論も目立つ。市長は「表現の自由だからといって何を言っても許されるわけではない。ヘイトスピーチの定義は法務省も示しており、正しい情報を国が発信することが大事だ」と積極的な姿勢を国が率先して示すよう求めた。