古くからイノシシ鍋などが振る舞われる神奈川県伊勢原市大山地区で、豆腐料理に並ぶ新たな特産品にしようと各店がアレンジしたジビエ料理を提供する「大山猪鹿(ジビエ)フェア」が23日から始まる。関係者は「ジビエ文化を市内外へ浸透させたい」と意気込んでいる。今年で3回目で同実行委員会主催。
フェアには大山阿夫利神社下社近くの参集殿から麓の宿坊までの15店が参加。予約なしで食べられるランチと、宿坊や旅館の宿泊時に提供されるディナーの2種類が用意される。伝統の猪(いのしし)鍋をはじめ、鹿肉をトッピングしたカレー、竜田揚げなど、各店ごとの特徴を生かした料理が楽しめる。
提供されるジビエ肉は、地元伊勢原産。猪・鹿問屋「阿夫利山荘」(磯崎敬三代表)が狩猟で捕獲した肉で、加工処理から食肉提供まで通常1週間かかるところ、最短3日間という新鮮さも特徴だ。特にイノシシ肉はこれから脂が乗ってくる時期で、脂はしつこくなく、「コラーゲンの塊」(磯崎代表)という。
自然深い大山の麓である同地域は、今の時期は野生動物による食害が発生し、栽培をやめてしまった農家もいるほど鳥獣害被害は深刻だ。駆除のため毎年120頭は捕獲しているという磯崎代表はフェアについて「若い猟師に肉のさばき方、血の抜き方を教える機会が増える。それらの技術を継承する環境にもなる」と狩猟活動への意義も強調する。