衆院選も最終盤を迎える中で「風を起こす」とされる無党派層(政党支持なし層)に与野党双方が熱い視線を送っている。神奈川県内では有権者の4人に1人を占め、その約4割が投票先が未定だ。折しも自民党が派閥裏金事件を巡り非公認とした候補が代表を務める党支部への2千万円支給が判明。立憲民主党などが批判の風をあおる一方で自民は防戦に懸命だ。無党派の選択が選挙結果を大きく左右しそうな気配だ。
「裏金議員を裏公認」。24日朝、立民など野党の候補者陣営へ“キャッチフレーズ”が各党本部などからリレーのごとく伝達された。裏金(不記載金)受け取りで公認を外された自民系候補者の党支部に「党勢拡大活動費」の名目で現金支給が行われたことへ攻勢を強めるよう“以心伝心”が広がったのだ。この日、横浜入りした立民の野田佳彦代表も「自民に反省はない。裏公認だ」と「裏公認」を使って批判を強め、世間の関心をあおった。
対する自民候補の事務所へはファクスなどで「報道について」との党総裁・幹事長室からの文書が送られた。「これまで指摘されている『政治とカネ』の問題とはまったく異なり、なんら法律的、倫理的にも後ろ指をさされるものではありません」などと強気の内容。自民候補者の間では謝罪の動きもある一方で激戦区陣営の関係者は「もう崖っぷち。これ以上は下がりようもない。謝ってばかりじゃ選挙にならない」と文書を根拠に防戦の構えだ。世論の風の行方は見通せないが「無党派頼み」の姿勢に与野党の差はないようだ。