逆襲の気配が色濃いJ1湘南で、鮮烈な印象を残しているのがDF大岩一貴(35)だ。直近3試合は3バックの右に入り、3連勝に貢献。機運が盛り上がる中、「1試合1試合しっかり向かっていければ。次の試合まで期間もあるし、そこを大事にしっかり準備したい」と表情を引き締めた。
19日の広島戦では、最終ラインからの攻撃参加で劇的勝利を呼び込んだ。まずは0―1の後半3分だ。前線の攻撃陣を追い越して敵陣最深部まで走り込むと、ゴールライン際での懸命な折り返しはFW福田の同点弾に結んだ。さらに追加タイム2分のMF田中の決勝弾の場面でも直前からボックス中央で構え、チャンスをうかがっていた。
わずかに枠を捉えなかったものの、MF茨田の左クロスに頭で合わせるシーンも。「後半は行けるスペースもあったし、展開でもあった。(同点弾の起点は)上がったら相手のシャドーがついてこなかったし、(決勝点のシーンは)マンツーマン気味だったんで、行けたらチャンスかなと」。淡々とした口ぶりには仕事人の気風がにじむ。
もっとも、本職の守備についての自己評価は厳しめだ。いとわず走って攻撃の芽を摘んだが、「失点の場面は反省点が多い。走ったどうこうというよりはそういう守備のところの反省が多い」と、修正を誓う。
2012年のルーキーイヤーから毎年ゴールを重ねている。特に昨季は横浜FCとの「裏天王山」で残留を導く殊勲の一撃となった。記録継続への期待も高まるが、「最近よく言われるんですけどね。まあ取れたらいいけど、まずは勝てるように」。残り4試合、どこかで大仕事が待っていそうだ。