「政治とカネ」を巡る問題への有権者の怒りがうねりとなり、自民党にノーを突き付けた衆院選が幕を閉じた。全国各地で「大物議員」が相次いで落選し、神奈川県内でも重鎮が姿を消した。背水の陣で臨んだ当選13回の重鎮・甘利明氏と国家公安委員長などを歴任した松本純氏。かつて政権の中枢で存在感を放った輝きは見る影もなく、退場を余儀なくされた。
「厳しい選挙だ。甘利明を信じる皆さんの力を結集した最強の『元気玉』で、当選の壁をぶち破りたい」
最終日の26日。甘利氏は座間市の演説会場で人気漫画「ドラゴンボール」になぞらえ声を張り上げた。
主人公・孫悟空が両手を挙げると、遠くからでも元気が集まってくる─。会場には、所属する麻生派領袖(りょうしゅう)の麻生太郎党最高顧問をはじめ現職閣僚、近隣市長らが応援に駆けつけていた。
かつて安倍晋三首相や麻生氏とともに「3A」と呼ばれ、政権を支える屋台骨の一角をなした重鎮。しかし、3年前の前回選は金銭授受問題などへの批判を跳ね返せず敗北。わずか35日で幹事長を辞任し、今回の衆院選は新20区に移って議席を奪還するはずだった。
小田急線相模大野駅前でのマイク納めで「誤解や不信をしっかり解く」と訴えたが、自らが街頭に立つ時間は他候補に比べ圧倒的に不足していた。逆風にさらされ続けたスタッフは、冷ややかに語った。「ボランティアは疲労困憊(こんぱい)。元気なのは本人だけ」