裏金づくりが発覚したなどと虚偽の情報を広め、選挙運動を妨害されたとして、自民党の鈴木馨祐衆院議員が神奈川県・港北署に公職選挙法違反(虚偽事項公表)の容疑で刑事告訴し、受理されたことが28日、関係者への取材で分かった。
関係者によると、衆院選公示日(15日)の前後、アンケートと称し、鈴木氏について「約300万円の裏金処理問題が発覚した」として責任を問うような自動音声の電話が、横浜市港北区内の市議や県議の事務所などにかかってきたという。
また、鈴木氏が裏金づくりに関与したとする記事を掲載したチラシも同区内で配布が確認されたという。
鈴木氏は24日、電話の録音データや配布チラシといった証拠を提出し、刑事告訴。その後、受理された。
同党の派閥裏金事件を受け、鈴木氏は党政治刷新本部座長を務め、政治資金規正法改正に向けて取り組んできた。しかし、そのさなかで鈴木氏が代表を務める政党支部が寄付収入を2021年政治資金収支報告書に記載していなかったとして国会で追及され、鈴木氏は8件の不記載について認めた経緯がある。
鈴木氏の秘書を務める男性は「当時の実務担当者が代わった際、引き継ぎがなかったことでミスが生じ、不記載となった。決して故意ではなく、『裏金』ではない」と話し、「うそが広められ、民主主義の根幹である選挙をゆがめる極めて悪質な行為だ」と指摘した。
鈴木氏は27日投開票の衆院選で、区割り変更で港北区の単独選挙区となった神奈川7区から立候補。選挙区では敗北したが、比例復活して6回目の当選を決めた。